KICHIZOの代表作である「001の4番:コットンキャンバス縦型トートバッグ(001-00004)」。ポータークラシック取締役、クリエイティブディレクター吉田玲雄(れお)氏に、その魅力について語っていただきました。全3回に渡って連載します。
>ポータークラシック 2WAY トートバッグ KICHIZO by Porter Classic 001-00004 ¥43,200 (税込)
KICHIZO by Porter Classicは、日本を代表する鞄デザイナーである吉田克幸氏が立ち上げたポータークラシックの、「革と手縫いにこだわる」メイドインジャパンの鞄ブランドとして2010年に設立。克幸氏は吉田カバン創業者の吉田吉蔵氏の三男で、長年デザイン部門を統括し、ニューヨーク・デザイナーズ・コレクティブにも選ばれている。デザインを務めるのは、吉田カバンで数々のヒット作を生み出した吉田晃務氏。

4年間使い込んだコットンキャンバストートバッグ。生地に光沢が出て、しっとりと味のある風合いに。
“テキサス産オーガニックコットン”との出会い
―このバッグには、どのような素材を使っているのですか?
コットンキャンバスを使っています。キャンバスつまり帆布は、革と同じくらい鞄の素材として最もベーシックでスタンダードな素材です。KICHIZOのデビュー作を考えようとしたときに、吉田晃務が、キャンバスという基本中の基本の素材でもう1回挑戦してみたいと言ったのです。企画をしていく中で、偶然すごくいい素材があるのを見つけました。それが、テキサスのオーガニックコットンです。このコットンは、鞄を作るのにとても合っていました。
―触るとしっとりと優しい風合いですね。
素晴らしい素材です。繊維が、ガチガチに強いというよりは、線が細い、けどもろくない。だから触っていて気持ち良い。実際にそのオーガニックコットンはバッグと一緒に、封に入れてお渡ししています。この素材の良さをぜひ確かめてみてください。

コットンキャンバスシリーズすべてに付属している、コットンのサンプル
―真っ黒というわけではなく、光沢がありますね。
1回染めた後にさらにもう1回染めています。そうすることで、使っていく内にテカリが出てきます。新品と並べてみて比べるとわかりますが、黒が沈んでいかない。こうやって光が跳ね返ってくるのです。男性ならではの感覚かもしれないですが、この使い込んだ感じに良さがある。味が出てくるというか、大きな魅力だと思います。

新品状態でのコットンキャンバス。ここから味がでてくる
小さな切れ端も無駄にしないKICHIZOスピリット
―革の部分も、使い込まれると味が出てきますね。 使っていく楽しみっていうのは、当社がすごく大事にしたいことです。鞄は1年か2年にひとつ買うか買わないかというものだから、やっぱり使って楽しんでいくこと。それが鞄の醍醐味だと、クラシックというのは、そういうものだと思っています。ハンドルの付け根やロゴのところなんかも、少し張っていて、盛り上がっているでしょう。これは、革の切れ端を埋めて、縫い付けています。革を裁断すると、色んな切れ端が出てくる。それをそのまま捨てることなく取っておいて、こういうところで使う。平らなのか、盛り上がっているのかで、ツヤが出てきた時に印象が大きく変わります。

革の部分がわずかに盛り上がっている。この中に革の切れ端が入っている。
―中に切れ端を入れて縫うって、結構大変そうですね。
ブランド名になっているKICHIZOというのは祖父の名前から来ているのですが、祖父はずっと、小さな切れ端でも捨てないで、何かに再利用するというのを、商品を作るときにいつもやっていました。革の手縫いの職人だったので、革の商品を作ると必ず切れ端が出る。それで小さい小銭入れをつくるとか、そういうことは、絶対大事にしてこうというのが、当社ではずっとありました。